会社のサイトは速くて費用のかからない静的サイト(例: Cloudflare Pages)のまま、ブログだけは WordPress の画面で書きたい、というご相談をよくいただきます。
Cloudflare Workers を使うと、1つのドメインの中で、/blog/ から始まるアドレスだけを別のサーバー(例: レンタルサーバー上の WordPress)へ回し、それ以外は今のサイトから返すことができます。
本記事では、その仕組みと利点、設定の要点を説明します。
この記事の前提
| 対象読者 | 静的サイトを Cloudflare で配信していて、ブログだけを WordPress で運用したいサイトの運営者・Web 担当者 |
|---|---|
| 対象 | Cloudflare Workers(無料のプラン)と、レンタルサーバー上の WordPress |
| 確認日 | 2026年10月12日(数値・仕様は Cloudflare の公式の文書で確認) |
仕組み:届いた通信のアドレスを見て、行き先を分ける
Cloudflare Workers は、Cloudflare の配信の拠点で動く小さなプログラムです。
「ルート」(Routes)という設定で、どのアドレスに届いた通信でこのプログラムを動かすかを決められます。
| 届いたアドレス | 返すもの |
|---|---|
| https://ドメイン/blog/ から始まるもの | Workers が別のサーバーの WordPress から取り寄せて返す |
| それ以外(トップ・サービスの案内・お問い合わせ等) | 今の静的サイトがそのまま返す |
閲覧者のブラウザーに表示されるアドレスは、どちらも同じドメインのままです。
ルートは、Cloudflare を通している(プロキシを有効にした)ドメインに設定します。
Cloudflare の公式の文書では、ルートの決まりが次のように定められています。
- 末尾の「*」は、その後ろに続くすべてに当たります。「ドメイン/blog*」は /blog と /blog/記事 のほか、/blog2 のような別のアドレスにも当たります
- 複数のルートが当たるときは、より詳しく書いたルートが使われます
- アドレスの道筋の部分は、大文字と小文字を区別します
このため、ブログの範囲だけに絞るには「ドメイン/blog」と「ドメイン/blog/*」のように分けて書くのが確実です。
この形にする利点
| 利点 | 内容 |
|---|---|
| ブログが同じドメインの下にそろう | ブログを blog.ドメイン のような別のサブドメインに置かず、本体と同じドメインの /blog/ に置けます。サイトのアドレスが1つにまとまり、本体とブログを1つのサイトとして扱いやすくなります |
| ブログだけ WordPress の画面で書ける | 記事の追加・写真の差し替えは、WordPress の編集画面で行えます。本体の静的サイトに手を入れる必要はありません |
| 本体の速さと費用を保てる | 本体は静的サイトのまま配信するため、表示の速さと、静的サイトの配信サービスの無料の範囲をそのまま保てます |
サブドメインと /blog/ のどちらが検索の評価で有利かは、検索エンジンが公式に数値を示しているものではありません。弊社では、アドレスを1つにまとめて管理しやすくする目的で /blog/ の形をおすすめしています。
設定の要点
1. WordPress のアドレスを、公開するアドレスに合わせる
WordPress の設定で、「WordPress アドレス(siteurl)」と「サイトアドレス(home)」を、閲覧者が見るアドレス(https://ドメイン/blog)に合わせます。
ここが別のサーバーのアドレスのままだと、記事の中のリンクや画像のアドレスが別のサーバーを指し、閲覧者がそちらへ移ってしまいます。
公開するアドレスと、Workers が取り寄せるサーバーのアドレスが違うため、転送が繰り返されないか(「リダイレクトが繰り返されました」)を、設定のあとに必ず確認いたします。
2. ログイン画面と管理画面は、キャッシュから外す
Workers から取り寄せる通信は、設定によっては Cloudflare のキャッシュに保存されます。
ログイン画面・管理画面・ログイン中の表示がキャッシュに残ると、別の閲覧者に見えてしまうおそれがあります。
キャッシュに入れてよいのは、ログインしていない閲覧者向けの記事のページと画像だけです。
あわせて、ログイン画面には2段階の認証などの守りを重ねます。
3. 別のサーバーの元のアドレスを外に出さない
WordPress を置いたサーバーのアドレス(IP アドレスや初期のドメイン)が知られると、Cloudflare を通らずに直接サーバーへ届く通信を送られるおそれがあります(コラム「サーバーの IP アドレスが分かると、守りを素通りされる」)。
- WordPress が返すページの中や、転送の行き先に、サーバーの元のアドレスが残っていないかを確認いたします
- サーバー側で、Cloudflare 以外からの通信を受け付けない設定を検討します
4. Workers の無料のプランには、1日の回数の上限がある
| 項目 | 無料のプラン | 有料のプラン |
|---|---|---|
| 1日に Workers が受けられる通信の数 | 100,000回(協定世界時の0時に戻る) | 上限なし |
| 1回の通信で使える計算の時間 | 10ミリ秒 | 既定30秒(最大5分) |
上限を超えたときの動きは、ルートごとに選べます。
- 素通し(Fail open):Workers を飛ばし、Workers が無いときと同じ動きです
- 止める(Fail closed):Cloudflare のエラーの画面(1027)を返します
ルートを /blog/ だけに絞れば、Workers が動くのはブログへの通信だけになり、本体のページは回数に数えられません。
ただし、素通しを選んだ場合、上限を超えるとブログのアドレスが本体の静的サイトへ届き、ブログが表示されなくなります。
アクセスの多いサイトでは、有料のプランも含めて検討します。
サーバーとのやり取りを待つ時間は、計算の時間に数えられません(Cloudflare の公式の文書)。
まとめ
- Cloudflare Workers のルートで、/blog/ から始まるアドレスだけを別のサーバーの WordPress へ回せます
- 本体は静的サイトのまま、速さと無料の範囲を保てます
- WordPress のアドレスの設定・キャッシュの除外・サーバーのアドレスの隠し方・1日の回数の上限の4点を押さえることが大切です
この設定は、リンクスが代行いたします
ルートの設定、Workers のプログラム、WordPress のアドレスの設定、キャッシュの除外、サーバーの守りまで、弊社がまとめて設定いたします。
今のサイトを止めずに切り替える手順もご用意しております。お気軽にお問い合わせください。
出典
- Cloudflare「Routes」 https://developers.cloudflare.com/workers/configuration/routing/routes/(2026年10月12日 確認)
- Cloudflare「Limits」 https://developers.cloudflare.com/workers/platform/limits/(2026年10月12日 確認)
- Cloudflare「Pricing」 https://developers.cloudflare.com/workers/platform/pricing/(2026年10月12日 確認)
- Cloudflare「Respond with another site」 https://developers.cloudflare.com/workers/examples/respond-with-another-site/(2026年10月12日 確認)
- Cloudflare「Request」 https://developers.cloudflare.com/workers/runtime-apis/request/(2026年10月12日 確認)